パッションフルーツの加工品が世界中を見渡しても何故果物本来の味香りが無いのか?
これが、拘りの始まりでした。
どの製品を試してもあの爽やかな酸味とトロピカルなフレーバーが生きていません。香料として出まわっているパッションも桃のような香りが主でとても果物本来の香りの物は見つかりません。私達は海外の工場を視察すると幾つかのヒントを選ることが出来ました。
まずどの国へ行ってもパッションは価格的に低い分類にある果物だと云うことです。これは栽培に余り手がかからない事と、熱帯にはもっと美味しいフルーツが沢山有り生食には若干向かないことが理由だそうです。スリランカの農業試験場では「あんな儲からない果物のためにわざわざ日本から来たの?」と云われました。
果実は通常受粉してから2ヶ月ほどで熟しますが、早めに色着いたりする物も有り、外観だけでは熟度が解りにくい果物で、基本は完熟して落果したものを利用しますが、多くのメーカーの場合、色着いた状態で木になっている物を直接収穫したものも混合しており、完熟・未熟が混合された原料を利用している事が多いようです。
消費の多くはジュースや香料の原料として加工されますが、その殆どがオートメ化された施設で加工作業に人が介在することは少なくなっています。
スリランカの工場での加工の流れ
洗浄(大きな水槽でジェット水流で洗浄)→コンベアで上がって破砕(クラッシャー)→遠心分離機又は圧搾搾什機で搾汁→濾過→加糖して常温保存・又は急速冷凍して保存
この間殆ど人は介在しません。
従って熟度(香りや糖度)の判断する工程は有りません。
私達はこの点に注目し、完熟した果物だけを厳選し、一個一個包丁でカットし人の感覚で熟度を判別しながら搾汁します。この作業だけで専門メーカーの方は「そこまで手をかけると採算には合わない!!」との反応を示します。実はここがパッション本来のの味・香りを活かす最大のポイントです。
一つの果実に平均300個も入っている種と一緒に搾汁した果汁は、直ぐにパルパーフィニッシャーを使い果汁と種子を分離します。この後2度濾して急速冷凍、この間カットしてから冷凍まで15分以内で済ませます。
パッションフルーツは酵素が非常に多くピューレが常温時間にとどまると急速に発酵します。酵素の動きを以下に抑えるかが良質のピューレを作る必須条件です。
フィリピンでの作業はここまで、ピューレはマイナス25℃に保たれ、日本へ運ばれます。
パッションフルーツは皮・種で70%以上の重量が有ります。従って果汁の歩留まりは20%台。
皮と種子は廃棄していましたが、Malaybalayの時は近くにミンダナオ中央大学の農学部が有り、そこで買われている水牛(カラバオ)の飼料として皮を提供、変わりに牛糞をもらってきて堆肥として利用していました。現在は幾つかの農家と提携し同様の作業を行っており、同時にパウダーとしての試行も続けています。
種子の使い道は無かったのですが、海外の文献を読むと多くの参考資料が出てきました。
この項パッションフルーツの種子に続く